ふるさと納税の上限額について、いろいろ考察(悩んだこと)したことのまとめです。
ふるさと納税の上限額とは
ふるさと納税には2000円の自己負担のみで利用できる上限額というのがあります。この上限額はふるさと納税サイトなどで目安がシミュレーションできるようになっています。ただ、税制というのは非常に複雑で個々人で状況が違います。全ての状況にあった形のシミュレーションは難しそうな印象です。
一応、以前自分で検討した際はこんな感じで、あくまで目安としてはシミュレーションを使え!としており、それは間違っていないと思います。
結論としては私はまだ完璧なシミュレーション方法が分かっていないのですが、各サイトのシミュレータを使ってみると、私の場合に考慮しないといけないポイントがいくつかあると気づきました。
ふるさと納税による税金の控除額は、所得税からの控除と住民税(基礎控除と特別控除)からの控除に分かれており、下の1, 2, 3の合計額になります。上限額を決めるのは住民税からの特別控除分で、住民税所得割額 x 20%以上を計算できれば上限額が決まります。
- 所得税からの控除
- (寄付額 – 2000円) x 所得税率 x (1 + 復興特別所得税率2.1%)
- 住民税からの基礎控除
- (寄付額 – 2000円) x 10%
- 住民税からの特別控除
- (寄付額 – 2000円) x {(100% – 10%) – (所得税率 x 1.021)}
- 住民税所得割額 x 20%
- ※上記の小さい方
住民税所得割額は、課税所得の約10%になりますが、これに影響を与える要素を正しく検討せねばなりません。
考慮必要な要素
私の場合、住民税所得割額を求めるにあたって影響がありそうな要素は以下になりました。
- 給与収入
- 雑収入
- 上場株式の譲渡益
- 上場株式の配当
- 配偶者の所得
- 扶養親族の所得
- 社会保険料
- 生命保険料
- 地震保険料
- 医療費
雑収入、上場株式の譲渡益・配当、医療費以外は、基本的には年末調整で処理していて、年明けに源泉徴収票をもらえば確定、残りは確定申告で確定、なんですが、年内にちゃんと計算するのはやはり面倒です。
- 給与収入
- 収入額に応じて、所得税率や配偶者控除の基準となる合計所得に影響が出ます
- とはいえ、ふるさと納税のために額をコントロールすることは出来ません
- 課税対象となるのは、給与そのもので、交通費は非課税です
- 雑収入
- 雑多な収入、副業や暗号資産による収入で、給与収入と合わせると合計所得が増えて、配偶者控除や所得税率に影響します
- 収入から経費を引いたのが雑所得となります
- 20万円以下の場合、所得税としては申告不要ですが、住民税は申告必要であり、ちょっと扱いが難しい所得です。
- 雑所得によって増えた税金はふるさと納税の限度額を増やします
- 上場株式の譲渡益
- 特定口座の場合、分離課税の申告不要制度が使えます
- 申告すると課税所得が増えることになり、配偶者控除や所得税率に影響します
- 申告しなければ特定口座で源泉徴収された分で税金処理は完了し、控除などに影響しません
- 申告することでふるさと納税の限度額を増やすことが出来ますが、所得税率が上がったり、各種控除が使えなくなってしまうと本末転倒な部分があり、総合的な判断が必要です
- 特定口座の場合、分離課税の申告不要制度が使えます
- 上場株式の配当
- 上場株式の譲渡益と同じ考え方です
- 最近知ったのですが、配当と譲渡益は両方、または片方のみを申告できるらしいので、控除やふるさと納税などが丁度よい塩梅になるように調整が可能です
- 配偶者の所得
- 所得額によって、配偶者控除の有無や控除額が決まります
- 現在は所得が130万円を超えると社会保障の支払いが発生するので、注意です
- 控除額が減るとふるさと納税の限度額は増えますが、普通は控除優先です
- 扶養親族の所得
- 扶養親族(特に子ども)の収入が103万円を超えると扶養控除(特定扶養控除)の有無が変わります。
- 控除額が減るとふるさと納税の限度額は増えますが、普通は控除優先です
- 社会保険料
- 年金掛け金、健康保険料、DC/idecoの掛金を合計所得から控除できます
- 控除額が減るとふるさと納税の限度額は増えますが、普通は控除優先です
- 生命保険料
- 結構複雑な計算式がありますが、生命保険の掛金に応じた控除があります
- 控除額が減るとふるさと納税の限度額は増えますが、普通は控除優先です
- 地震保険料
- 地震保険の掛金に応じた控除があります
- 控除額が減るとふるさと納税の限度額は増えますが、普通は控除優先です
- 医療費
- 窓口で支払った医療費や治療のための医薬品の購入、医療機関への交通費などから10万円を引いた額を控除できます
- 控除額が減るとふるさと納税の限度額は増えますが、普通は控除優先です
まとめ
住民税所得割に影響を与える要素は分かりましたが、ほとんどの要素は自分でコントロールできる訳ではないです。ただ、収入や控除額はほぼ事前に把握できるため、これらを使って限度額の計算を行うことは可能です。
例年に比べて控除額が変動しそうな場合は、その分ふるさと納税の限度額に影響があるので、これを考慮した方が良いでしょう。
また、特定口座での株式譲渡益、配当がある場合、申告をするかどうかについては検討が必要です。利益がある場合に、確定申告をすることでふるさと納税の限度額が上がります。しかし、所得税率、控除にも影響が出る可能性があるため、どっちが得かは微妙です。
普通に考えると1万円の利益が増えると住民税の所得割額も1万円増えます。
ふるさと納税限度額 = 住民税所得割額 x 20% / {(100% – 10%) – (所得税率 x 1.021)} + 2000円
この計算に当てはめて限度額の増加を計算すると2874円となります。
所得税率、各種控除基準に影響を与えない範囲であれば、特定口座の申告を行うことでふるさと納税の上限額を増やすことが出来そうです。
税制には自治体固有の税金があったり、年ごとに特別な減税処置があったり、非常に複雑なので、今の私の力ではこの程度が精一杯でした。。。
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